香典袋は薄墨じゃないとダメ？ボールペン・印刷のマナー

突然の葬儀の知らせに、「香典袋って薄墨で書かないといけないの？」と戸惑ったことはありませんか。

筆ペンが手元になかったり、印刷された名前入りの香典袋を使っていいのか迷ったりする人も多いものです。

この記事では、香典袋の筆記具や墨の濃さ、印刷の可否について、最新のマナーをやさしく整理しました。

形式にとらわれず、相手に失礼のない香典袋の書き方を身につけておくことで、急な場面でも落ち着いて対応できます。

これから紹介する内容を参考に、自分らしく丁寧な弔意を伝えましょう。

香典袋の「薄墨」は本当に必要？その意味とマナー

香典袋を書くときに「薄墨を使うのが正解」と聞いたことがある方も多いですよね。

ここでは、なぜ薄墨が使われるのか、その意味や地域ごとの違いをわかりやすく説明します。

薄墨を使う理由と込められた想い

香典袋の表書きに薄墨を使うのは、深い悲しみを表すためです。

昔から「涙で墨が薄まった」「悲しみで筆を強く持てない」という心情を象徴しているとされています。

そのため、お通夜など急な知らせを受けて駆けつける場面では、薄墨がよりふさわしいと考えられています。

状況	使用する墨の濃さ
通夜	薄墨が一般的
告別式	濃墨でも問題なし
法要など	濃墨が望ましい

薄墨は「急な別れへの悲しみ」を表すための文化的な表現です。

告別式や法要では濃墨でもいい？使い分けの基本

通夜と違い、告別式では濃墨を使っても失礼にはなりません。

なぜなら、告別式は比較的落ち着いて準備ができる場面であり、薄墨を使う意味合いが薄れるためです。

また、地域によっては「濃墨こそ丁寧」とされる場合もあるので、場所や家のしきたりに合わせるのが安心です。

場面	一般的な筆記具
通夜	薄墨筆ペン
告別式	濃墨筆ペン
法要	濃墨筆またはサインペン

地域の風習や宗派によって違いがある場合は、事前に確認しておくのが大切です。

地域によって異なる薄墨の習慣

日本の各地では、薄墨の使い方にも違いがあります。

関西や一部地域では、悲しみを強調せずに濃墨で書くことが礼儀とされている場合もあります。

このような違いは文化や考え方の違いから生まれたものなので、どちらが正しいというわけではありません。

地域	主な傾向
関東	薄墨が一般的
関西	濃墨を使う場合も多い
その他地方	地域の慣習による

最も重要なのは、形式よりも故人や遺族への思いやりの気持ちです。

マナーに正解はなく、気持ちが伝わることこそが何よりも大切です。

香典袋にボールペンは使っていいの？場面別の正しい使い方

香典袋を書くとき、「筆ペンがないけどボールペンでもいいのかな？」と迷う方は多いですよね。

実は、使う場所によってボールペンがふさわしい場合と、避けたほうがよい場合があります。

この章では、外袋と中袋それぞれでの正しい筆記具の使い方を整理していきます。

外袋（表書き）はボールペンNGの理由

香典袋の外袋は、もっとも目に触れる部分です。

表書きには故人への敬意を込める意味があるため、毛筆や筆ペンを使うのが基本マナーとされています。

ボールペンは日常的な筆記具であり、正式な場では軽い印象を与えるため避けた方がよいとされています。

筆記具	外袋への使用可否
薄墨筆ペン	◎ 推奨
濃墨筆ペン	○ 告別式で可
ボールペン	× 不適切

表書きは「丁寧に心を込めて書く」ことが何よりも大切です。

ボールペンは避け、筆ペンで落ち着いた文字を書くようにしましょう。

中袋（内袋）はボールペンでも大丈夫

中袋には金額や住所、氏名などを記入します。

こちらは封入確認などの実用的な目的が中心のため、黒インクのボールペンを使っても問題ありません。

むしろ紙質によっては、筆ペンよりボールペンの方がにじまず読みやすいこともあります。

筆記具	中袋への使用可否
黒インクボールペン	◎ 推奨
濃墨筆ペン	○ 可
消えるボールペン	× 不可

消えるタイプのボールペン（フリクションなど）は使用NGです。

印字が消えて金額が不明になる恐れがあるため、普通の黒インクを選びましょう。

使いやすい筆記具のおすすめと選び方

筆ペンやボールペンを選ぶときは、使いやすさと文字の見やすさを重視するのがポイントです。

筆ペンは、穂先が硬めのタイプを選ぶと安定して書けます。

ボールペンは、にじみにくい水性またはゲルインクタイプがおすすめです。

目的	おすすめ筆記具
外袋（表書き）	薄墨または濃墨の筆ペン
中袋（住所・金額）	黒インクのボールペン
補助記入や署名	細字タイプのサインペン

筆記具を選ぶときは、「読みやすく・にじみにくい」ことを意識しましょう。

使う場所ごとに最適な筆記具を使い分けることが、丁寧な印象につながります。

名前が印刷された香典袋は失礼？印刷のマナーと注意点

最近では、香典袋にあらかじめ名前が印刷されたタイプを見かけることも増えました。

忙しいときや字を書くのが苦手な人には便利ですが、「印刷された名前は失礼では？」と気になる方もいますよね。

ここでは、印刷された香典袋の扱い方や、印刷で失礼にならないためのポイントを紹介します。

印刷でもOKとされるケース

香典袋の名前は本来、手書きで書くのが望ましいとされています。

ただし、最近では印刷されたものを使っても失礼にあたらないと考える人も増えています。

たとえば、手が不自由な場合や急な用意が必要な場合などは、印刷でも問題ないとされています。

印刷が許容されるケース	理由
手が不自由な場合	やむを得ない事情として理解される
高齢で筆が持てない場合	体調に配慮される
急な通夜や出張先での準備	時間的に手書きが難しいため

大切なのは「気持ちがこもっているかどうか」であり、印刷そのものが失礼ではありません。

印刷フォントや色の選び方

印刷する場合は、フォントや色にも注意が必要です。

できるだけ毛筆に近い書体を使い、文字色は黒または薄墨色にすると落ち着いた印象になります。

パソコンで作る場合は、明朝体や楷書体のような品のあるフォントを選ぶとよいでしょう。

要素	おすすめ設定
フォント	楷書体・明朝体・毛筆風フォント
文字色	黒またはグレー（薄墨風）
文字サイズ	袋の中央にバランスよく収まる程度

派手なフォントや太すぎる文字は避けましょう。

落ち着いたデザインが心を丁寧に伝える印象を与えます。

印刷＋署名を組み合わせる方法

印刷だけだと少し機械的に感じる場合は、印刷の上に署名を添えるのもよい方法です。

印刷された文字の下に、サインペンで自筆の署名を加えると「心を込めた」印象になります。

また、複数名の連名で出す場合も、代表者の署名を手書きにすることで、より丁寧に見えます。

方法	印象
印刷のみ	形式的だが整った印象
印刷＋署名	丁寧さと温かみの両立
完全手書き	最も正式で心が伝わる

印刷と手書きを組み合わせることで、マナーと気持ちの両方を大切にできます。

中袋の金額・住所・氏名の正しい書き方

香典袋の中袋には、金額や住所、氏名を記入する欄があります。

中袋は香典の中身を確認する際に使われるため、誰からの香典かが一目でわかるように丁寧に書くことが大切です。

ここでは、中袋に記入する際の正式な書き方や注意点を詳しく解説します。

旧字体（漢数字）の使い方一覧表

金額を書くときは、改ざん防止のために旧字体（漢数字）を使うのが一般的です。

通常の数字では書き換えが容易なため、正式な香典袋では旧字体を使うことで信頼性を高めます。

以下の表に、よく使う金額の旧字体をまとめました。

金額	旧字体の書き方
5,000円	金伍仟円
10,000円	金壱萬円
30,000円	金参萬円
50,000円	金伍萬円
100,000円	金壱拾萬円

金額は旧字体で「金○○円」と書くのが正式です。

「金額の数字だけ」を書くのは避けましょう。

金額の「也」や単位を入れる理由

旧字体の金額の最後に「也（なり）」をつけるのが正式な書き方です。

これは、数字の後に余分な文字を加えて改ざんされるのを防ぐための工夫です。

たとえば「金壱萬円也」と書くことで、後から金額を書き足されにくくなります。

書き方例	意味
金壱萬円	正式ではあるが少し省略形
金壱萬円也	完全な形式でより丁寧
金壱萬	単位が抜けるため避ける

「也」は形式的な記号ではなく、誤解を防ぐための大切な要素です。

丁寧に見える文字の書き方ポイント

中袋に書く文字は、読みやすさを意識することが大切です。

特に金額や住所などは、受け取る側が確認しやすいように整った字で書きましょう。

楷書体でゆっくり書くと、丁寧な印象になります。

項目	書き方のコツ
金額	旧字体を使い、中央に整える
住所	都道府県から省略せずに書く
氏名	フルネームで、やや大きめに書く

インクがにじみやすい紙質では、細字のボールペンを使うと美しく仕上がります。

中袋は金額確認のための書面でもあり、丁寧に記入することが信頼につながります。

香典袋を書くときに避けたいNG行為

香典袋を書くときには、知らずにマナー違反になってしまうケースもあります。

ここでは、うっかりやってしまいがちなNG行為と、正しい対応方法を具体的に紹介します。

「うっかり」を防ぐだけで、香典袋全体の印象がぐっと良くなります。

消えるボールペンや鉛筆の使用

最近では書きやすい筆記具が増えていますが、消えるボールペン（フリクションなど）は使用を避けましょう。

温度や摩擦で文字が消えてしまうため、香典の金額や名前が不明になるおそれがあります。

同様に鉛筆も消えやすく、フォーマルな場では不適切とされています。

筆記具	使用可否
消えるボールペン	× 不可（文字が消える）
鉛筆	× 不可（軽い印象）
黒インクボールペン	◎ 可（中袋に適する）

「消えない黒インク」を使うのが基本です。

文字が残る筆記具を選ぶことが、相手への丁寧さにつながります。

にじみやすい紙への注意

香典袋は紙質によってはインクがにじみやすく、文字が読みにくくなることがあります。

特に筆ペンを使う場合は、筆圧を強くしすぎないように注意しましょう。

にじみ防止のために、穂先が硬めの筆ペンや細字タイプを選ぶのがおすすめです。

紙の種類	適した筆記具
和紙タイプ（表面が柔らかい）	硬筆タイプの筆ペン
光沢タイプ	サインペンまたは水性ボールペン
ざらざらした紙	濃墨筆ペン

筆記具と紙質の相性を確認しておくと、にじみやかすれを防げます。

事前にメモ用紙で試し書きをしておくと安心です。

書き間違えたときの正しい対処法

書き間違えたときに修正テープや二重線を使うのは避けましょう。

フォーマルな場面では「書き直す」が基本です。

書き損じた袋は新しいものに書き直し、再利用しないのがマナーです。

誤りの対処法	対応方法
1文字だけの誤字	新しい袋に書き直す
軽いにじみや汚れ	目立つ場合は新しいものに交換
封入後に誤りを発見	袋ごと入れ替えて書き直す

修正ペンや修正テープの使用は絶対に避けましょう。

丁寧に書き直すことが、相手への誠意を示す一番の方法です。

まとめ｜大切なのは形式よりも「気持ち」

ここまで、香典袋の書き方や筆記具の使い分けについて詳しく見てきました。

マナーは確かに大切ですが、最も大切なのは「心を込めて故人を偲ぶ気持ち」です。

形式にとらわれすぎず、相手を思う気持ちを丁寧に伝えることを意識しましょう。

マナーよりも心が伝わる香典袋のあり方

香典袋の薄墨・濃墨、筆ペン・ボールペンといった細かな違いに不安を感じる方も多いですが、それらは「気持ちを表す手段」にすぎません。

たとえ印刷やボールペンであっても、真心を込めて準備すれば、失礼になることはありません。

マナーは「思いやりを形にするためのもの」だと考えると、迷いが少なくなります。

ポイント	意識すべきこと
形式	一般的なマナーを守りつつ無理をしない
筆記具	書きやすく気持ちを込めやすいものを選ぶ
言葉	丁寧で落ち着いた表現を心がける

完璧さよりも、相手に伝わる丁寧さを大切にしましょう。

事前に準備しておくと安心なアイテムリスト

急な葬儀に備えて、香典袋や筆記具をあらかじめ用意しておくと安心です。

準備しておくことで、慌てずに落ち着いた対応ができます。

以下の表は、持っておくと便利なアイテムの一例です。

アイテム	用途・ポイント
香典袋（複数種類）	宗派や金額に合わせて使い分けできる
薄墨・濃墨筆ペン	通夜・告別式など場面に応じて選べる
黒インクボールペン	中袋用に使いやすい
練習用の便箋	名前や表書きの練習に便利

慌てて準備すると書き間違いやミスが起こりやすくなります。

日頃から基本セットを用意しておくことで、落ち着いた対応ができます。

形式よりも「思いやり」が伝わる香典袋を書くこと。

それが、最も美しい弔意の表し方です。