還暦祝いの水引は蝶結び？表書き・内のし外のしの正しいマナー

「還暦祝いの熨斗（のし）、どう書けばいいんだろう？」──そんな疑問を持つ方は多いのではないでしょうか。

還暦祝いは、人生の大きな節目を祝う大切な機会です。

だからこそ、贈るときのマナーをしっかり押さえておくことで、気持ちのこもったお祝いになります。

この記事では、還暦祝いに使う水引の選び方（蝶結び・紅白）、表書きの正しい書き方、そして意外と迷う内のし・外のしの使い分け方まで、初心者にも分かりやすく解説します。

迷いやすいポイントを具体的な例と一緒に紹介しているので、「どっちが正しいの？」という悩みもすぐに解決できます。

この記事を読めば、誰に贈っても失礼のない、心のこもった還暦祝いを用意できるようになります。

還暦祝いの熨斗（のし）とは？意味と役割を知ろう

まず最初に、そもそも「熨斗（のし）」とは何か、そして還暦祝いでどんな意味を持つのかを整理しておきましょう。

この章では、熨斗の基本的な役割と、還暦祝いにおける使われ方をわかりやすく解説します。

そもそも「熨斗」とは何を指すのか

熨斗とは、贈り物に添える飾り紙のことを指します。

正式には「のし紙」と呼ばれ、右上に描かれた飾り模様（のしアワビ）と水引が特徴です。

これは、古くから「お祝いの気持ちを添える」という意味を持ち、贈り物をより丁寧に見せる役割を果たします。

つまり、熨斗は“感謝と祝意を形にするラッピング”なのです。

項目	内容
目的	贈り物にお祝いの気持ちを添える
構成	のし飾り＋水引＋表書き＋贈り主名
使う場面	お祝い・お礼・季節の贈答など

還暦祝いで熨斗を付ける理由

還暦祝いは、人生の節目をお祝いする特別な行事です。

そのため、ただ贈り物を渡すだけでなく、熨斗を付けて「正式なお祝い」であることを示すのが一般的です。

熨斗を付けることで、「感謝」と「尊敬」の気持ちがより丁寧に伝わります。

特に目上の方や職場の方に贈る場合、熨斗を付けるのはマナーとして必須とされています。

形式を整えることが、贈る側の心遣いの表れになるのです。

相手	熨斗の有無
両親・親族	どちらでも可だが付けると丁寧
上司・恩師	必ず付ける
友人	カジュアルな贈り物なら省略もOK

還暦祝いの水引は蝶結びが基本！意味と選び方を解説

還暦祝いの熨斗で最も大切なポイントのひとつが「水引（みずひき）」です。

結び方や色には、それぞれ意味が込められており、正しく選ぶことでお祝いの気持ちがより丁寧に伝わります。

この章では、蝶結びを選ぶ理由や紅白の色の意味、水引デザインの選び方を詳しく紹介します。

蝶結びを使う理由と「結び切り」との違い

還暦祝いでは蝶結び（花結び）を使うのが基本です。

蝶結びはほどいて何度でも結び直せる形で、「何度あってもうれしいお祝い」という意味を持ちます。

人生の節目を迎える還暦は、まさにその象徴です。

“これからも元気で長くお祝いを重ねてほしい”という想いを込めて蝶結びを選びます。

一方で、結婚式など「一度きりが望ましい」場面では、結び切りが使われます。

結び方	意味	使う場面
蝶結び	何度でも繰り返して良いお祝い	還暦・出産・入学など
結び切り	一度きりで終える祝い	結婚式・快気祝いなど

紅白の水引が選ばれる意味と避けるべき色

還暦祝いに使う水引の色は紅白が基本です。

赤は「還暦の象徴」であり、長年の健康や幸せを祝う意味を持ちます。

白は「純粋な感謝」や「新たな始まり」を表す色として選ばれています。

金銀や黒系の水引は、結婚式や弔事の印象を与えるため避けるのが無難です。

紅白の組み合わせは、還暦という新しい人生のスタートに最もふさわしい色なのです。

色	意味	還暦祝いでの適性
紅白	長寿・幸福・お祝い	◎ 最も適している
金銀	婚礼・格式高い儀式	△ 避けるのが無難
黒白	弔事	× 不適切

水引の本数とデザイン選びのポイント

水引の本数は5本または7本が一般的です。

5本は「基本形」、7本は「より丁寧なお祝い」を意味し、どちらを選んでも問題ありません。

また、水引デザインにはシンプルなものから、華やかな飾り付きまでさまざまなタイプがあります。

贈る相手との関係性に合わせて、控えめ〜上品なデザインを選ぶのがポイントです。

タイプ	特徴	おすすめシーン
5本紅白蝶結び	最も一般的な形式	友人・親族
7本紅白蝶結び	より丁寧で格式高い印象	上司・恩師
飾り付き蝶結び	華やかさを演出できる	両親・家族

表書きの書き方マナー｜正しい文言と筆記方法

熨斗を使う際に意外と迷いやすいのが「表書き（おもてがき）」の書き方です。

表書きとは、熨斗の上段に書かれるお祝いの言葉のことを指し、贈り物の目的を示す重要な部分です。

この章では、表書きに使う言葉の選び方から、筆の使い方まで、マナーをわかりやすく解説します。

おすすめの表書き文言（祝還暦・還暦御祝など）

還暦祝いの表書きでよく使われる言葉は以下の通りです。

特に「祝還暦」は最も一般的で、フォーマルな場面でも安心して使えます。

柔らかい印象を出したい場合は「還暦御祝」もおすすめです。

表書きの文言	特徴	おすすめシーン
祝還暦	最も標準的で丁寧	上司・恩師・両親
還暦御祝	少し柔らかい印象	友人・親族
寿	幅広いお祝いに使える	カジュアルな贈り物
御祝	万能タイプで無難	シンプルに伝えたい場合

基本は「祝還暦」または「還暦御祝」と覚えておけば間違いありません。

「長寿祝」や「満60歳祝」など年齢を強調する表現は避けるのがマナーとされています。

贈り主名の書き方（個人・家族・職場連名の場合）

表書きの下段には、贈り主の名前を書きます。

個人で贈る場合はフルネーム、家族で贈る場合は家族全員の名前、職場で贈る場合は代表者名または全員の連名を記載します。

複数人で書く場合は、目上の方の名前を右側に書くのが一般的です。

贈り方	書き方の例
個人	山田太郎
家族連名	山田太郎・花子・一郎
職場代表	株式会社○○　営業部一同

名前の書き方ひとつで印象が大きく変わるため、整った字で丁寧に書くことが大切です。

筆ペン・毛筆の使い分けと美しく見せるコツ

表書きは毛筆または筆ペンで書くのが基本です。

毛筆が難しい場合は筆ペンを使っても問題ありません。

ただし、ボールペンやサインペンは略式とされるため、フォーマルな贈り物では避けましょう。

文字の色は黒一択です。薄墨やカラーインクは弔事に使われるためNGです。

筆記具	特徴	使用の可否
毛筆	最も正式。力強い印象。	◎
筆ペン	扱いやすく丁寧な印象。	◎
ボールペン	略式。職場内などカジュアルな場合のみ。	△

表書きは「心を込めて丁寧に」が一番のマナーです。

少し練習してから清書すると、仕上がりが格段に美しくなります。

内のし・外のしの違いと選び方｜贈るシーン別のマナー

還暦祝いを包む際に悩みがちなポイントが「内のし」と「外のし」の使い分けです。

どちらも間違いではありませんが、贈る場面によって適切な使い方があります。

ここでは、2つの違いと、シーン別の選び方をわかりやすく紹介します。

「内のし」「外のし」とは何が違う？

まず、「内のし」と「外のし」の違いを整理しておきましょう。

内のしは、品物にのし紙をかけたあとに包装紙で包むスタイル。

外のしは、包装紙の外側にのし紙をかける方法です。

どちらも贈り方のマナーとして正しいですが、見た目の印象が異なります。

種類	見た目の特徴	印象
内のし	包装紙の内側にのし紙	控えめで上品
外のし	包装紙の外側にのし紙	華やかでフォーマル

見える位置に表書きがくるのが外のし、隠れて見えないのが内のしと覚えておくと簡単です。

配送・手渡しなどシーン別の使い分け方

内のしと外のしは、贈る場面に応じて使い分けます。

たとえば、配送する場合は内のし、直接手渡しする場合は外のしが一般的です。

これは、のし紙が破れたり汚れたりするのを防ぐためでもあります。

シーン	おすすめののし	理由
配送・郵送	内のし	のし紙が保護されて安全
直接手渡し	外のし	お祝いの気持ちを見せやすい
職場での贈呈	外のし	見た目が華やかで印象的

配送時に外のしを使うと、輸送中にのし紙が破損する恐れがあるため注意が必要です。

贈る相手の状況を考えて、丁寧に選ぶことがマナーの第一歩です。

迷ったら「外のし」が無難な理由

どちらを選ぶか迷った場合は、基本的に「外のし」を選ぶのが無難です。

外のしはお祝いの気持ちをしっかりと伝えることができ、フォーマルな印象を与えます。

特に、手渡しする場面では表書きが見えることで、お祝いの意図が明確になります。

選び方のポイント	おすすめのし
贈り物を直接渡す	外のし
配送や控えめに贈りたい	内のし
判断に迷う	外のしでOK

還暦祝いはお祝いの場が多いため、基本的には外のしを選ぶと間違いがありません。

還暦祝いを丁寧に渡すためのマナーと気配り

熨斗を準備したら、いよいよお祝いを渡すタイミングです。

どんなに素敵な贈り物でも、渡し方に気配りがないと印象が半減してしまいます。

この章では、渡すときのマナーや、お祝いの言葉の添え方をわかりやすく紹介します。

渡すときの正しい向きと手渡しマナー

還暦祝いを渡すときは、相手に対して表書きが読める向きにして差し出すのが基本です。

つまり、自分から見て逆さになるように持つのが正しい形です。

両手で丁寧に差し出し、軽く会釈を添えるとより丁寧な印象になります。

場面	マナーのポイント
手渡し	両手で渡し、表書きの向きを相手に合わせる
挨拶の直後	会話の最初ではなく、落ち着いたタイミングで
渡す場所	食事の席などでは、タイミングを見て渡す

相手が受け取りやすい姿勢とタイミングを意識することが、気持ちを伝える一番のマナーです。

お祝いの言葉を添えるタイミングと例文

渡す際には、一言お祝いの言葉を添えると印象がより温かくなります。

形式ばった言葉でなく、日常の言葉で伝えるのがポイントです。

場面	言葉の例
家族・親族に渡す場合	「還暦おめでとうございます。これからも元気でいてくださいね。」
上司・恩師に渡す場合	「おめでとうございます。今後ますますのご活躍をお祈りしています。」
友人に渡す場合	「おめでとう。これからも一緒に素敵な時間を過ごそうね。」

堅苦しすぎず、自然な言葉で伝えることが大切です。

気持ちのこもった一言は、どんな贈り物よりも記憶に残るプレゼントになります。

避けたい失礼な行動や言葉遣い

お祝いの場では、無意識の言葉や動作が相手に不快な印象を与えることがあります。

還暦祝いは特に人生の節目にあたるため、言葉遣いや振る舞いにも注意が必要です。

NG行動	理由
贈り物を片手で渡す	軽い印象を与えてしまう
場の空気を読まずに渡す	落ち着いたタイミングが望ましい
年齢を強調する発言	相手によっては気になる話題

お祝いの本質は「相手を思う気持ち」です。

形式だけにとらわれず、相手が心地よく受け取れるように意識しましょう。

まとめ｜正しい熨斗マナーで心のこもった還暦祝いを

ここまで、還暦祝いの熨斗に関する基本マナーを詳しく見てきました。

「水引の種類」「表書きの文言」「内のし・外のしの選び方」など、一見難しそうなマナーも、意味を知れば自然と理解できます。

この章では、全体のポイントを整理し、最後にお祝いの心を伝えるためのヒントをお伝えします。

この記事のポイント再確認

還暦祝いで押さえておきたい熨斗マナーを、改めて簡単にまとめます。

項目	ポイント
水引の種類	紅白の蝶結びを使用する
表書き	「祝還暦」または「還暦御祝」が一般的
のしの種類	手渡しは外のし、配送は内のし
筆記具	毛筆または筆ペンを使用
渡し方	表書きを相手に向け、両手で丁寧に

この5つを意識するだけで、印象がぐっと上品になります。

感謝と長寿を伝えるための心構え

還暦祝いの本当の目的は、形式を守ることではなく、相手への感謝と祝福の気持ちを伝えることにあります。

そのため、熨斗や水引のマナーは「心を形にする道具」として考えるのが大切です。

マナーは人を思いやる気持ちの延長線上にあるものであり、完璧である必要はありません。

相手を思い浮かべながら贈り物を用意すれば、それだけで最高のお祝いになります。

心を伝える工夫	具体例
メッセージカードを添える	感謝の一言を添えると印象的
贈るタイミング	誕生日や記念日に合わせると良い
贈り方	手渡しの際は丁寧な姿勢を意識

お祝いを受け取る方にとって、熨斗の丁寧さや渡し方は、あなたの気持ちそのものです。

ひとつひとつの所作を大切にしながら、温かい気持ちでお祝いを届けましょう。